りんくんはわたしの弟。優しくて可愛いけど、ちょっと頼りない。
もう少し、おとこの子っぽくしないと、学校に入ったとき、お友達は女の子ばっかりになっちゃう。
【桜】
「りんくーん、いそがないとお店しまっちゃうよ？」
【輪吾】
「まってよ、さくらお姉ちゃん」
【桜】
「ほらほら、がんばって。おとこの子でしょ？」
【輪吾】
「うう……はーい」
【桜】
「…………」
【輪吾】
「どうしたの、さくらお姉ちゃん」
【桜】
「なんでもない。ほら、いそごっ」
りんくんと手をつないでひっぱる。
つばきお姉ちゃんは、りんくんはりんくんのままでいいって言ってたけど……わたしはだめだと思う。
お姉ちゃんは、弟のめんどうをみるんだって。だから、りんくんのめんどうはわたしがみるの。
つばきお姉ちゃんは、りんくんはりんくんのままでいいって言ってたけど……わたしはだめだと思う。
お姉ちゃんは、弟のめんどうをみるんだって。だから、りんくんのめんどうはわたしがみるの。
【輪吾】
「へんなお姉ちゃん」
【桜】
「へんなんかじゃないもん」
【桜】
「りんくん、おんなの子みたいだから、わたしがめんどうをみてあげなくちゃって思ってたの」
【輪吾】
「そ、そんなことないよっ。ボク、おとこの子だもんっ」
【桜】
「でも……」
ぐいっとスカートがひっぱられた。
もう、りんくんってば、なにしてるのかな。
もう、りんくんってば、なにしてるのかな。
【輪吾】
「さ、さくらお姉ちゃん！」
【桜】
「りんくん、すかーとをはなし……きゃああっ！？」
おっきい犬さんが、わたしのスカートをかんで、しっぽをすごく振っている。
どうしよう、どうしよう……こわい、こわいよっ。
どうしよう、どうしよう……こわい、こわいよっ。
【輪吾】
「お、お姉ちゃん……」
りんくんが、泣きそうな顔してる。
そうだ、わたしはお姉ちゃんだから、りんくんを守らなくちゃっ。
そうだ、わたしはお姉ちゃんだから、りんくんを守らなくちゃっ。
【桜】
「り、りんくん……だいじょうぶ、だいじょうぶだから」
スカートをぐいってひっぱると、犬さんは簡単にはなしてくれた。
【桜】
「りんくん、だいじょうぶ。ゆっくり、このままにげよう」
【輪吾】
「う、うん」
りんくんをかばいながら、犬さんからゆっくりはなれる。
でも、そのぶん、犬さんもわたしたちのほうについてくる。
でも、そのぶん、犬さんもわたしたちのほうについてくる。
【輪吾】
「どうしよう、お姉ちゃん。ついてくるよ……？」
【桜】
「だ、だいじょうぶ」
【輪吾】
「あ、だめっ！」
なにが？ と思ったら、犬さんがわたしのスカートに、かおをつこんできた。
【桜】
「ひゃああっ！？ や、やだっ、やだぁっ」
【輪吾】
「お、おねーちゃんっ」
すかーとじゃなくて、ぱんつをひっぱってるっ。
足をとじて、いっしょけんめい、ぬげないようにしてるのに、どんどんぬげていっちゃう。
これじゃ、にげられない。でも、りんくんだけでも、にがしてあげなくちゃ。
足をとじて、いっしょけんめい、ぬげないようにしてるのに、どんどんぬげていっちゃう。
これじゃ、にげられない。でも、りんくんだけでも、にがしてあげなくちゃ。
【桜】
「りんくんだけでも、にげて」
【輪吾】
「だ、だめだよっ。さくらお姉ちゃんひとりになっちゃうっ」
【桜】
「だいじょうぶ、だから。わたし、お姉ちゃんだもんっ」
犬さんがすごくつよくぱんつをひっぱる。
【桜】
「だ、だめっ。もう、やめて、やだっ、やだぁっ」
どうしよう、どうしよう……。
だれか、たすけて。でも、まわりにはだれもいない。
だれか、たすけて。でも、まわりにはだれもいない。
【輪吾】
「お、お姉ちゃんからはなれて！」
りんくんが、犬さんにぎゅっと抱きついてる。
すごくこわがっていたのに、わたしのために……？
すごくこわがっていたのに、わたしのために……？
【桜】
「り、りんくん、あぶないよっ」
【輪吾】
「おねえちゃんのぱんつ、はなしてよっ」
犬さんが咥えていたわたしのぱんつをはなした。
【輪吾】
「おねえちゃん、にげて。ぼくが犬をおさえてるからっ」
りんごくんが犬さんをぎゅっとだきしめて、わたしにいう。
【桜】
「で、でも……っ」
【輪吾】
「ボクはへいきだからっ。おねえちゃん、にげてっ」
【桜】
「あ……」
まもってあげなくちゃって思ってたのに。
おんなの子みたいだって思ってたのに。
りんくん……ちゃんとおとこの子だったんだ……。
おんなの子みたいだって思ってたのに。
りんくん……ちゃんとおとこの子だったんだ……。
【桜】
「りんくん、にげるときはいっしょだよっ」
【輪吾】
「おねえちゃん」
ふたりでいっしょに犬さんに抱きつく。
【桜】
「……あれ？」
犬さんは、ぺろぺろって、わたしたちの顔を舐める。
【輪吾】
「もしかして……犬、あそんでほしかったのかな」
【桜】
「そうかも……」
【輪吾】
「あははっ。くすぐったいよっ」
りんくんが、犬さんと楽しそうに遊んでいる。
よかった。これでだいじょうぶ……なんだ。
よかった。これでだいじょうぶ……なんだ。
【桜】
「よかった……お姉ちゃん、どうしようと思っちゃった」
【桜】
「おねえちゃん、もうだいじょうぶだね」
【桜】
「う、うん……」
足にちからがはいらなくて、ぺたんってすわりこんじゃう。
りんくんも、わたしのとなりにぺたんってすわる。
りんくんも、わたしのとなりにぺたんってすわる。
【輪吾】
「ボク、すっごくドキドキしちゃった」
【桜】
「わたしも、すっごくドキドキしてた」
でも、このどきどきは犬さんのことじゃない。りんくんが、かっこうよかったから。
いつの間にか、りんくんは……ちゃんとおとこの子になってたんだ。
いつの間にか、りんくんは……ちゃんとおとこの子になってたんだ。
【桜】
「ありがと、りんくん。りんくん、おーじさまみたいにかっこよかったよ」
【輪吾】
「え？ そ、そんなことないよ。だって、お姉ちゃんがたすけてくれたから」
【輪吾】
「さくらお姉ちゃん、すっごくかっこよかった」
【桜】
「うう〜。おんなの子なのに、かっこういいっていうのはどうなのかな」
【輪吾】
「じゃあ、どういえばいいのかな？」
【桜】
「んーと……うれしいときとか、おれいを言うときは『お姉ちゃん、だいすき』って言ってほしいな♪」
【輪吾】
「え、えと……おねえちゃん、だいすきだよ」
【桜】
「……っ」
りんくんに『だいすき』って言われると、顔があつくなってむねがどきどきする。
わたし……りんくんのことだいすきになっちゃった。
わたし……りんくんのことだいすきになっちゃった。
【桜】
「ありがと、りんくん」
ちゅっとほっぺにキスをする。
【輪吾】
「さ、さくらお姉ちゃんっ！？」
【桜】
「えへへへ。りんくん、だ〜いすき♪」
